『ソーシャルメディア・プリズム:SNSはなぜヒトを過激にするのか?』
クリス・ベイル|松井信彦 ・訳|みすず書房|2022年6月3日
朗読箇所:第3章「実際に壊すとどうなるか?」より(P.28〜35)
「われわれのチームは、何千何万というソーシャルメディア・ユーザーの複数年にわたる行動を記述した億単位のデータポイントを収集してきた。自動化されたアカウントを使って新実験を行ったり、外国による誤情報キャンペーンが与える影響について先駆けとなる調査を実施したりしてきた」
「その真実とは、ソーシャルメディアにおける政治的部族主義の根本原因が私たち自身の心の奥底にあることだ。社会的孤立が進む時代において、ソーシャルメディアは私たちが自身を——そして互いを——理解するために使う最重要ツールのひとつになってきた。私たちがソーシャルメディアにやみつきなのは、人間に生得的な行動、すなわち、さまざまなバージョンの自己を呈示しては、他人がどう思うかをうかがい、それに応じてアイデンティティーを手直しするという行動を手助けしてくれるからである。ソーシャルメディアは、各自のアイデンティティーを屈折させるプリズムなのだ——それによって私たちは、互いについて、そして自分についての理解をゆがめられてしまう」(本文より)
計算社会科学(Computational Social Science)の最先端を走る研究者が、政治的分極化への処方箋を提示する。
「本書は、データに基づく解決策が私たちを崖っぷちから救い出してくれるという希望を与えてくれる」J・ゴルベック(『サイエンス』)
「エコーチェンバーが作用しているという仮説に、スマートかつ魅力的に挑戦している」F・ブルニ(『ニューヨーク・タイムズ』)
「ベイルによる発見は、社会の成り立ちについての興味深い結論を教えてくれる」N・ヘラー(『ニューヨーカー』)
【目次】
第1章|エコーチェンバーの伝説
- エコーチェンバーについてのエコーチェンバー
- 分極化に向ける新たなレンズ
第2章|エコーチェンバーを壊したらどうなのか?
- エコーチェンバーを壊す
- 悪いボット、良いボット
- 謎の解明
第3章|実際に壊すとどうなるか?
- 群れることを習うパティー
- ジャネット
- 正しいことはいい気分
- ハードリセット
第4章|ソーシャルメディア・プリズム
- 大して合理的ではない大衆
- ソーシャルメディアとステータス追求
- プリズムの威力
第5章|プリズムが過激主義をあおる仕組み
- 孤独な荒らしたち
- あなたの知らない荒らし
- 過激主義というカルト
- プリズムから映し出される過激主義
第6章|プリズムは穏健派を“ミュート"する
- 穏健な大多数
- 過激主義者との遭遇
- 失うものが多すぎる穏健派
- 穏健派の抱く絶望感
- 穏健派の不在
第7章|アカウントを削除すべきか?
- 離れられない理由
- プラットフォームが独力では私たちを救えないわけ
- 私たち次第
第8章|プリズムをハックする
- 認識のずれを狭める
- プリズムを見て取る
- プリズムを通して自分を見る
- プリズムを壊す
第9章|より良いソーシャルメディア
- コロナ時代のソーシャルメディア
- 新手のプラットフォーム
- 目的を定めたプラットフォーム
付録 調査手法
- ボットを使った量的な実験
- ボットを使った質的な実験
- シミュレーションされたソーシャルメディア・プラットフォーム実験
https://www.msz.co.jp/book/detail/09083/
企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録
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