井戸短歌会特別編、パート2です!
参加者の皆さんには、以下の三つの質問に対する答えをそれぞれ考えてきてもらいました。
(一)自分が詠んだ短歌で気に入っているものは?
(二)その短歌ができあがった経緯は?
(三)あなたにとって短歌とは?
パート2はせいじ、ゆうや、もえの三人に話してもらっています。ぜひお楽しみください!
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【せいじ】のターン
せいじにとっての短歌とは「瞬間の切り取り」
部屋の隅の たまるホコリの 取りこぼし いつしかあれは なくなるかしら
- 初めて詠んだ一首。
- 情景でも気持ちでも、切り取り、うまいこと組み合わせたものが短歌なのではないか。
- 掃除をするときに常々気になっていたことを歌に詠んでみた。
- その瞬間の情景や自分の内面などが表現できたのではないかと思っている。
- 字足らずや字余りは「イレギュラー」として読者を立ち止まらせる働きをもつ。
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【ゆうや】のターン
ゆうやにとっての短歌とは「そんな見方できるんかい、を思い出させてくれる “おまもり” 」
- おまもりは「心の支え」や「祈り」と言い換えてもいいと考えている。
- 旧約学者ウォルター・ブルッゲマンのprophetic imagination(預言者の想像力)からインスピレーションを得た。
- いま目の前に広がっている以外の現実の見方がある、というのを短歌で表現したい。
灰色の世界で虹の絵を描いたあなたを思い出す水曜日
- 灰の水曜日に合わせて、イエスの苦難に思いを馳せる歌を詠みたいな、というところからスタートした。
- メモ帳に、中心となる「キーワード」やそのキーワードの「対義語」や「類義語」を書き出していき、それらを組み合わせ、推敲して歌を作っていくスタイル。
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【もえ】のターン
もえにとっての短歌とは「日常のいとおしいモーメントを閉じ込めた和菓子」
- 和菓子職人の「四季の風や香りを5センチ四方に練り込むような気持ちで和菓子をつくっている」ということばからインスピレーションを得た。
- 「ことば」と「食べること」がつながっている気がする。
- その短歌を “食べる” 人によって、思い出されるもの、味わい、感覚が異なる。
- 自分にとってのリアリティをもった美しさ、季節の側面、ユニークさなどを詠むことが多い。
- 誰かになりきって歌を詠むのではなく、自分の生活にそくした歌を詠むことが多い。
永遠が明日はじまるのだとしてもさざ波寝息にそっと耳を寄せ
- となりで寝ている夫の寝息がきっかけとなって生まれた歌。
- ノートに書きつけるというより、寝る直前や家事をしているときに頭に浮かんだことばを組み立てて短歌を作っている。
わたしのおなかの中でほころぶ新芽はまだかみさまの夢をみている
- キャンパスを散歩しているときに新芽を見て、去年の今ごろはまだ妊娠中だったなといつところから詠んだ歌。
- 短歌を詠むときに、自分が好む「カラーパレット」がある。優しい色合いをもつことばを使うことが多い。
- 音の「やわらかさ」も大事にしている。
- 歌を読んで解釈してくれる人にゆだねられるように、あえて余白を残している。